学長メッセージ

沖縄国際大学理事長・学長前津 榮健

沖縄国際大学学長 前津 榮健

  2022年2月25日、沖縄国際大学は創立50周年を迎えます。これもひとえに卒業生や地域の皆様をはじめ多くの関係者の皆様の温かいご支援の賜物と心より感謝申し上げます。

  本学は、1972年(昭和47年)復帰直前の2月25日、当時の沖縄大学の一部と国際大学を統合して設立されました。特筆すべきことは設立基金として、当時の文部省から沖縄県私立大学統合設備費補助金10億円が交付され、さらに日本私学振興財団から特別長期融資4億4千万円を受けたことです。これらの資金を基に、大学誘致を議決した宜野湾市市議会、宜野湾市および宜野湾区民のご理解とご協力を得て校地約11万6千平方メートルを取得し、校舎建築に着手、プレハブ仮設校舎にて、同年5月1日より授業が開始されました。

  1972年5月15日の日本復帰を目前に沖縄における私立大学統合・存続問題をめぐって議論が渦巻く中、沖縄における大学教育の転換と発展を理念に本学は誕生したのであります。

  設立趣意書によると、「戦後沖縄の社会が幾重にも負った桎梏に耐えながらたどった歴史の道程」を踏まえ、「住民と社会が常に叫び、常に求めてきた真の自由と、自治の確立の執拗な追及」をすることが、「沖縄の私立大学」としての本学の存在意義とされております。この設立趣意書を踏まえた「真の自由と、自治の確立」という精神を尊び、初心に立ち返ることを強く心に刻みたいと思います。

  創立50周年という大きな節目に、本学の設立にご尽力された初代理事長・学長故安里源秀先生および設立理事故大濱信泉先生のご功績とご遺徳をあらためて偲び、永遠に感謝の意を表したいと思います。また、これまで本学の発展にご貢献くださった、後援会、校友会をはじめとするすべての皆様にも心から感謝申し上げます。

  本学は創立以来、歴代学長のご尽力の下で幾多の困難を乗り越えつつ、改革に挑戦してまいりました。開学当初、一部3学部6学科、短大4科、二部3学部6学科、短大4科、学生数2984名の規模でしたが、現在では、4学部10学科、大学院3研究科5専攻、4研究所を擁する規模となり、専任教員133名、専任職員81名、学生数は、学部、大学院併せて5281名に達しております。

  本学は、「地域に根ざし、世界に開かれた大学」をキャッチフレーズに国際交流にも力を入れており、現在、台湾の東海大学、韓国の韓南大学、嘉泉大学、釜慶大学、中国の澳門大学、天津外国語大学、カナダのバンクーバーアイランド大学、アメリカの南ユタ大学、ヘンダーソン州立大学、オーストラリアのマッコーリー大学、エジプトのカイロ大学、北アイルランドのアルスター大学、フランスのレンヌ第2大学、スペインのレオン大学、ドイツのオスナブリュック大学と学術交流協定を結んでおり、学生、教職員が活発に交流を深めてきました。しかし、この2年間、コロナ禍で交流もままなりませんでした。コロナが収束し、以前のように交流が深まることを願っています。

  また、国内の諸大学との間に単位互換協定を結び、学生の自由な選択で沖縄とは異なる環境の下で学修できる制度も整えております。現在、札幌学院大学、桜美林大学、大東文化大学、名城大学、京都先端科学大学、松山大学、熊本学園大学と協定を締結しております。

  本学は、創立以来すでに5万6千人余の学生を輩出しています。これらの卒業生が、県内外をはじめ国外でも、金融、流通、保険、福祉、教員、公務員、文化・芸術等様々な分野で活躍しています。とりわけ、東京2020オリンピックでは日本代表空手形の喜友名諒選手が沖縄に初の金メダルをもたらし、パラリンピック車いすマラソンの喜納翼選手は7位入賞を果たしました。両選手の活躍は、在校生をはじめ本学関係者ばかりでなく、国民・県民に大きな感動と勇気を与えてくれました。本学卒業生の活躍に対する社会的評価も年々高まり、我々教職員一同喜びに耐えない次第です。

  学修環境の充実は教育・研究にとって不可欠であります。本学は、開学当初プレハブの仮設校舎でスタートし、その後順次教室・研究棟、図書館・体育館・本館等を整備しましたが、現在では、これらの施設はすべて建て替わり、キャンパスも設立期とは大きく様変わり致しました。昨年3月には、学生食堂、カフェ、コンビニエンスストアが入った待望の学生会館が完成し、学生、教職員の福利厚生施設となっております。

  本学にとって大きな衝撃を与え本学の歴史に瑕瑾を残したのは、2004年8月13日の普天間基地所属のヘリコプターが本学本館に墜落炎上した事件です。学生、教職員、市民、県民を恐怖に陥れてから、今年で18年目を迎えます。あの日の墜落現場の惨事と米軍の理不尽な事故処理に対する市民、県民の憤懣やるかたない強い憤りが、時間の経過と共に薄れていくことも残念ながら現実でもあります。しかし、普天間基地の撤去は、日米両政府で合意されたことであり、改めて、普天間基地の撤去と大学上空の飛行中止を強く求めます。

  本学の使命は、沖縄の発展に貢献するために(1)アジアの十字路に位置する沖縄のポテンシャルを活かし、万国津梁の魁となる人材を育成し、(2)沖縄の個性を発揮させる研究・地域連携を行うことにあります。また、教育目標として、(1)アジアを中心とする国際社会と対話し、理解し発信する能力を育成する教育、(2)「沖縄」を見つめ探求し、地域と協働する経験を蓄積させる教育、(3)夢を描き実現する力、環境変化に適応できる力、すなわち人間力を培う教育を掲げております。

  本学はこれまで地域貢献の一環として、宜野湾市、宜野湾市教育委員会、沖縄税理士会、日本トランスオーシャン航空および琉球エアーコミューターとの包括協定を締結し、また4研究所も地域と連携し、地域研究に積極的に取り組んでまいりました。

  ご承知のように、2020年春からの新型コロナウイルス感染症の拡大は、大学にも多大な影響を与えました。本学は学生及び教職員の「健康と命」、「学修機会の保障」のため危機管理対策本部を設置し、感染防止策、学修環境を整えてきました。特に、遠隔授業に対応するために、特例授業修学支援奨学金の支給、奨学金の拡充、パソコン貸与等を行いました。このような学生、教職員の尽力や貢献は、ウィズコロナ、アフターコロナを考えると、決して無駄にはならないものと確信いたします。

  結びに、沖縄国際大学は、先人が辿られた道程を忘れることなく、これからも「教育の質の向上」を通じて、人間力を基に知識とコミュニケーション能力を身に付け、地域や万国津梁の魁となる人材の育成と地域社会の発展に教職員一同さらに尽力し、次の50年に向け邁進することをお誓い申し上げます。

2022年(令和4年)2月
沖縄国際大学理事長・学長

前津 榮健

祝辞

沖縄県知事玉城デニー氏

沖縄県知事

玉城 デニー

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日本私立学校振興・共済事業団理事長清家篤氏

日本私立学校振興・
共済事業団 理事長

清家 篤

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日本私立大学協会会長小原芳明氏

日本私立大学協会 会長

小原 芳明

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